天気予報
2011年3月5日
夕方4時をまわればいつだって気にしてしまう、空の色。風が舞い、椰子やバナナの木々がざわめく。灰色の雲がぐんぐんと押し寄せて、淡い水色の空を覆っていく。ところどころ、その隙間から光がまだわずかに差しこんでいる。
露店のパラソルの縁がはためく。支柱の鉄パイプと重石のコンクリートブロックは耐えている。店主たちは商品に透明のビニルシートをかぶせる。客たちは足早に去っていく。電線が揺らめき、家々から音と明かりが消える。
「オジョンロ、サレオー(雨が降るぞ、走れ)」
後ろから聞こえてきた声に押され、走りだす。
大粒の雨と落雷で天地がどよめく。家や軒下で、人もヤギも、静かに待っている。
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雨季の夕立が降りだす直前の空。灰色の雲が空を覆い尽くすと、10分もしないうちに大雨が降りだす。テレビやラジオ、新聞やインターネットで天気を確認することがほとんどないナイジェリアの暮らし。そこでは、空を見上げ、風を受ける。人びとの動きを見て、声を聴く。それが天気予報を知るということだ。
2009年10月2日 イフェ、モダケケ地区の下宿の2階バルコニーにて
(毎週土曜日更新)