清水弘文堂書房マーク 清水弘文堂書房 SHIMIZU KOBUNDO

従来通りの硬派学術書路線を踏襲し100年になんとする歴史をさらに未来に向けて伝承していきますが、これからは、学術書以外の良質な一般書も積極的に世に問います。

活字離れがいちじるしい昨今、「活字文化と心中する」心意気で、出版人の原点にたち返って、学術書・一般書にこだわることなく、売れなくても良質の本は、なんとしてでも、世に問います。

そして、昨今の出版社がやるような流行りに乗っかってキワモノを出版し、それが売れなければ、すぐ断裁するなどいう不届きなことはしません。清水弘文堂書房が、学術出版社であるがゆえに、これまでも、わが社は、こんな不届きなことは、一度もやりませんでした。こだわりつづけてきたこの姿勢は、これから出すであろう一般書にも適用します。幸いなことに、諸先輩の血と汗の結晶としてわれわれに残された財産である学術出版社ならではの固い販路をフルに活用して、その良質な本を、じっくり時間をかけて読書の手元にお届けいたします。

岩波書店の創業者岩波茂雄の「いい本は、かならず売れる」信念を、今一度、“冬の時代”の出版人の心意気として、われとわが身にいいきかせながら、“ぱあめ!”—ゆっくり、ゆっくり、まえに進みます!

1994年、ソフト部門も含めて、3億2千万円かけた黒姫の新社屋に本社機能を移転させた直後に起きた不幸な火災事故により、すべてを失ったあとも、こつこつと進めてきたDTP編集のさらなる充実、ネットワーク化のさらなる拡大、それにともなう在宅勤務体制の充実に、力を入れました。

わが社は、「労働者のいない会社」です。本社機構のなかで働く人は、重役だけ・・・・・・そう、サイバー空間でつながっている在宅勤務のアルティザンと“小さな本社”に勤務する重役陣、これが新体制です。重役の中に、最低ひとり、在宅勤務のアルティザン代表を入れています。その人が学校出たての人であっても、老いたるベテラン・アルティザンであってもかまいません。もうひとつ。海外経験豊富な重役も、かならず、ひとり、重役陣にはいっていただいています。これは誤解を招きやすい表現ですが、今日のような地球時代にわれわれは、日本語というハンデキャップを背負って出版活動をしています。それを乗り越えて、日本の活字文化を諸外国に広めたい。諸外国のそれも、日本に紹介したいと思っています。

現在わが社は、「作家同盟的出版社」の色合いも濃くしています。重役陣には、老若男女を問わず「作家たち」が就任し、その仲間たちの著作を発行するという側面を強化しています。

(2000年、2014年、2020年加筆修正)

清水弘文堂書房 礒貝日月(いそがい・ひづき)略歴

  • 1980年生まれ。
  • 東京都立晴海総合高等学校(1期生)、慶應義塾大学総合政策学部、同大学院政策・メディア研究科前期博士課程修了。総合研究大学院大学文化科学研究科地域文化学専攻(国立民族学博物館)後期博士課程中途退学。
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  • 県立広島大学大学院経営管理研究科(HBMS)講師。清水弘文堂書房社主。早稲田大学教育学部兼坦講師(2020年4月~)。東京理科大学オープンカレッジ講師(2021年11月~)。早稲田大学早稲田環境学研究所研究員、早稲田大学総合研究機構ヒューマン・ナチュラルリソースマネージメント(HNRM)研究所研究院客員講師・客員次席研究員(2018年4月~2022年3月)として寄附講座、アジア各大学との提携フォーラムのフィールドワーク設計やプログラム・コーディネートほか、各大学で講師を務めたのち現職。
  • 幼少期から極北の先住民イヌイットと関わりをもつ。カナダ・イヌイットの社会・文化変化について探求。「北極」について探求したサイト「北極圏人会」主宰。
  • 独立行政法人科学技術振興機構(JST)「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」研究開発領域・戦略会議委員(出版・編集担当、2013年7月~2014年3月)。日本学術振興会特別研究員(DC2、2008年4月~2010年3月)。公益財団法人日本極地研究振興会メールマガジン編集委員会委員(2021年10月~)。
著書・賞罰:
『ヌナブト イヌイットの国その日その日 テーマ探しの旅』(清水弘文堂書房、2001)、『蒼いお尻のぼくときみ。 カナダ極北のイヌイット 内なる心の旅』(清水弘文堂書房、2007)、編著に『北の国へ!!-NUNAVUT HANDBOOK』(清水弘文堂書房、2003)がある。2001年度慶應義塾大学塾長奨励賞、「2003年度/第3回カナダ・メディア賞」大賞を受賞。