清水弘文堂書房マーク 清水弘文堂書房 SHIMIZU KOBUNDO


看病

2010年5月22日

初めてマラリアにかかった日の翌朝、「食べなきゃ治らないよ」と、シェグンが作ってくれたお弁当。2009年3月18日 イフェ、モダケケ地区の下宿にて

体がだるい……。
朝から外出していたわたしは、昼過ぎに体の様子がおかしいことに気づいた。座っているのもだんだんときつくなり、仕方なく家に帰ることにした。床に一枚の布を敷いて横になる。それにしても、今日は暑い。

熱い。体温なのか、気温によるものなのか、なにが熱いのかわからない。いつのまにかあたりは暗い。不安になって下の階にいる友人に電話をかける。友人の携帯は鳴らない。少しでも冷たい空気に触れたくて、転がりながら窓の下へ行く。

夜9時半過ぎ、向かいの部屋に住むドゥペが帰ってきた。熱くて頭が痛いと言って部屋から出てきたわたしの額と首に手を当て、彼女が言った。「これがマラリアよ。初めてなんでしょ?」

ドゥペが部屋から薬を取ってくるまでのあいだに、水浴びをし、オレンジを食べておくよう言われた。食べる元気も、水を浴びる体力もないと言うと、彼女はわたしを容赦なく叱った。むりやり顔と腕に冷たい水をかけ、オレンジを半分食べ、薬を飲みこむ。ドゥペがくれた細長くて大きな白い錠剤は、わたしをやっと眠らせてくれた。

翌朝、近所に住む友人のシェグンが食事を持って来てくれた。肉や魚の入った豪華なシチューだが、7割は油……。とても弱った体に受けつけるものではなかったが、この地で生きるみんなのやさしさとたくましさを感じながら、わたしはそれをなんとか胃に流しこんだ。

Photo
初めてマラリアにかかった日の翌朝、「食べなきゃ治らないよ」と、シェグンが作ってくれたお弁当。
2009年3月18日 イフェ、モダケケ地区の下宿にて

(毎週土曜日更新)