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ソーシャル化の先にあるもの

2011年6月30日

今回は、ソーシャル化の先にあるものについて、歴史を整理しながら考察してみたいと思います。

ソーシャル化にいたる歴史

ソーシャル化の先にあるもの、ぼくらがこれから目指していくものについて考えるまえに、そこにいたる歴史を整理してみようと思います。

図1. ソーシャル化にいたる歴史

図1. ソーシャル化にいたる歴史

この図は、世のなかの多くの媒体やコミュニケーションの方法がアナログであった時代から、情報をデジタル化し、そして、デジタル化された情報やそこに関わる人が相互に関係を持ってコミュニケーションをするソーシャル化の時代へと変遷してきたということを表しています。

デジタル情報化

GoogleやYahoo! は、この最初の段階での、世界の「デジタル情報化」に貢献をした企業です。Yahoo! はディレクトリという階層構造を人の手で分類することで、 世界のデジタル情報(ウェブサイト)を整理しました[1]。Googleは、「世界中の情報を整理し、世界中の人びとがアクセスできて使えるようにする」というミッションを持って事業をしています[2]。既存のメールを使いやすくしたり、世界中の地図を便利に使用可能にしたり、現在では世界中の書籍をデジタル化するという事業[3]も進行中です。

当初の目的がデジタル情報化であったので、それを実現するためのビジネスモデル、事業の中心は、先行投資として、力技で、あるいは、テクノロジーを駆使してデジタル情報化を進めることと、多くの人がデジタル化をしやすい環境を整えることにありました。

その結果として、それまで図書館などに行って、手と目を使って探す必要があった情報をインターネットを介して、ウェブブラウザ上で検索することが可能になりました。 Googleは、それまで自宅のデスクトップパソコンなどでのクライアントソフトウェアでの利用が当たり前だったメールの利用を、Gmailを通じていつでもどこにいても送受信できるようにしたり、Google Mapのストリートビューで、世界中の道路で360度方向の撮影ができる車を走らせて、まさに「力技」で世界中の多くのストリートの(撮影時点での)実際の様子を見ることをできるようにしました。

ぼくの専門領域であるデータベースという視点から定義をするならば、この時代の情報技術は、情報検索を可能にするために機械に記憶させる(情報を上手に覚える)ことが目的であり、これにより必要なときに必要な情報を的確に思い出すことができるようになりました。

ソーシャル化で、人や情報が相互に交流

世界中でたくさんのことがデジタル情報化してくると、それらの情報間での連携が重要になってきます。
2005年にOpen Network Labのメンター[4]のひとりでもあるTim O’Reilly氏が提唱したWeb2.0というコンセプトは、デジタル化された情報が一方的に流れるそれまでの状態から、ネットワークを通じて誰でも(たとえばブログやWikiなどの形式で)情報を発信していく時代への変化を表したものです[5]。 多くの人が情報発信をするようになったため、現実世界と同様に、発信者同士の関係が重要になりました。また、発信された情報そのもの同士の関係も重要になり、API[6]やフィード[7]の形式でウェブサイトやアプリケーション間での連携も図られるようになってきました。人同士のコミュニケーションや、 ウェブサイト間での会話が可能になりました。

そうしたなかで、今日、情報の発信者や発信される情報の関係をグラフ(ネットワーク)としてとらえて、双方向的なコミュニケーションをしやすくしたのがソーシャルメディアです。

国内ではTwitterやFacebookといったソーシャルメディアがまだまだ普及しきっていない今日ではありますが、世界はソーシャル化の方向に向かっています。Facebookの全世界のユーザ数は、この記事の執筆時点で7億1千万人を超える数となっています[8]。Twitterのユーザ数は1億人を突破していて、一日あたり30万人が新しくユーザ登録をしています。

ソーシャルメディアは、社交するための場所

それでは、ソーシャル化の本質はどこにあるのでしょうか。それは、ソーシャルメディア上において、人が(あるいは情報が)社交するための場所であるというところにあるのではないかと思います。

ソーシャル化時代の目的は、交流することです。ユーザや情報の数が多ければ多いほど(つまりノード数が多ければ)交流する機会が増えます。また、そこにいるユーザや情報のあいだに多くのつながりがあればあるほど(つまり、リンクの数が多ければ)、交流の機会を増やすことができます。

図2. Twitter.com上ではFollowボタンがもっとも目立つように配置されています。

図2. Twitter.com上ではFollowボタンがもっとも目立つように配置されています。

twitter.comのウェブサイト上で最も注目されやすくデザインされているパーツは、「Follow」ボタンです。Facebookの「like(いいね)」ボタンは、世界中のウェブサイトを巨大なソーシャルグラフにすることが最大の目標です。

つまり、ソーシャル化をすることが目的の時代の、手段としての事業の中心は、ソーシャル化しやすくする、つまり、リンクしやすくすることが本質です。そしてその結果、巨大なソーシャルグラフが完成しています。ユーザや情報とそれらのつながりの数が増加した結果、ソーシャルメディア上には、多様な可能性のある大きなプラットフォームになっています。

データベース研究という視点から表現するならば、ソーシャル化の時代の情報技術は、よりたくさんの情報の蓄積を可能にするために、機械が記憶をする機会を多くする(情報を覚えやすくする)ことが目的です。これにより、機械が、さまざまな場面においてより多くの多様な情報を、扱う人やほかの情報との関連を明確にしながら覚えることができるようになりました。

ソーシャル化の次に何があるのか

それでは、ここから先には、何があるのでしょうか。続きは次回の記事にて!

  1. [1]「ディレクトリ型検索エンジン」の説明がWikipediaにあります。
  2. [2]Googleについて, http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/
  3. [3]Google Books, http://books.google.com/
  4. [4] Open Network Lab’s Mentors, http://onlab.jp/contents/mentor.html
  5. [5]Tim O’Reilly, “What Is Web 2.0 – Design Patterns and Business Models for the Next Generation of Software,” http://oreilly.com/web2/archive/what-is-web-20.html
  6. [6]アプリケーションプログラミングインタフェース(API), http://ja.wikipedia.org/wiki/アプリケーションプログラミングインタフェース
  7. [7]フィード, http://ja.wikipedia.org/wiki/フィード
  8. [8]Social Bakers, http://www.socialbakers.com

著者紹介

高橋雄介

高橋雄介 (たかはし・ゆうすけ)

1980年生まれ。2003年 慶應義塾大学 総合政策学部卒業、2005年慶應義塾大学 大学院政策・メディ ア研究科修士課程修了。2008年同大学院後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。2005年より同大学院研究員として、知識ベースシステム、マルチデータベース、ビジュアリゼーション、教育およびキャリア開発におけるデータベース利用に関する 研究開発 に従事(~2009年)。2010年11月、株式会社一人企業を創業。2013年2月、米国カリフォルニア州Mountain ViewにてAppSocially Inc.を創業し、CEOに就任。専門は、データベース、知識ベース、マルチメディアデータベース、顧客開発、および、 グロースハック。2013年4月より、米国シリコンバレー在住。

(株)清水弘文堂書房

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