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極北彷徨③ カナダ極北地帯で先進7か国財務省・中央銀行総裁会議(G7)を開催できるか

2009年11月20日

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ヌナブト準州州都イカルイトの空港。2005年8月撮影

2001年2月28日のことである。北極点を目指す最前線基地が置かれるレゾリュート・ベイからオーロラの町イエローナイフに行き、それから、ヌナブト準州中部の町ランキン・インレットに向かった。日本ですべての飛行機便を予約しており、その日のうちに、州都のイカルイトに移動する予定だった。ランキン・インレットの天気は快晴。しかし、イカルイトは悪天候。予定していたファースト・エアーの便は飛ばず、数時間遅れで、カナディアン・ノースの便に乗って、イカルイトに向かうことになった。

飛び立ったはいいが、現地周辺に行くまで飛行機が無事到着できるかわからない。窓の外を見ると、飛行機はぶ厚い雲に覆われ、氷雪が激しく降っている。心弱き私は不安な気持ちに包まれていたのを覚えている。アナウンスによると、着陸を試みるとのこと。激しく揺れる飛行機。機内の人からはジェットコースターに乗っているかのような声が。飛行機は無事着陸した。あれから、極北地帯の飛行機に何度も乗っているが、あれほどの揺れと恐怖を感じたのはあのときが最後だ。着いたら着いたで、タクシーはストライキ―中。気温マイナス22度のなか、飛行場から町の中心部まで重い荷物を背負いながら、冬の行進。あの日のことはいまでも鮮明に思い出すことができる。

ことの顛末は拙著『ヌナブト イヌイットの国その日、その日 テーマ探しの旅』に詳しく書いてあるが、このことを思い出したのは、昨日読売新聞である記事を読んだからである。

2月のカナダG7、-23・8度のイカルイトで」という記事によると、来年2月5~6日に先進7か国財務省・中央銀行総裁会議(G7)がカナダ・ヌナブト準州州都のイカルイトで開催されるようだ。開催理由としては、「環境保護と北極圏開発の両立を目指すカナダの姿勢をアピールする狙い」があるらしい。記事には、「極寒の地で重要な国際会合が開かれるのは異例。カナダのメディアも開催地決定について『参加者は無事に集まれるのか』『毛皮商人や冒険家の追体験を堪能できるだろう』と驚きと皮肉交じりに報じている。」とある。

現地を知っているだけに、来年どのようになるか、不安でもあり、楽しみでもある。