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大場千景さんが日本文化人類学会奨励賞を受賞
2015年7月25日
大場千景さんが、第10回日本文化人類学会奨励賞を受賞されました。この賞は「無文字社会における『歴史』の構造―エチオピア南部ボラナにおける口頭年代史を事例として」(『文化人類学』第78巻1号、2013年)の業績を対象とするものです。
大場さんの長年にわたるフィールドワークの成果は、受賞対象論文と同時に、『無文字社会における歴史の生成と記憶の技法 口語年代史を継承するエチオピア南部ボラナ社会』(清水弘文堂書房刊)という成果にもつながっています。現代では希少な口誦伝承が残る社会の一端に、ぜひ触れてみてください。
無文字社会における歴史の生成と記憶の技法 口頭年代史を継承するエチオピア南部ボラナ社会
2014年1月8日
大場千景 著
500年もの間、文字を使わずに語り継がれた歴史。
文字を持たない民族ボラナはどうやって歴史を記憶し、伝えているのか。
物語り、詩、時間、構造とは――。
7年間におよぶエチオピアフィールドワークの集大成
現役の語り手からの聞き取りテクスト(日本語訳)も豊富に掲載
私は、エチオピア南部のサバンナに暮らすボラナとよばれる人々の歴史を研究している。……ほとんどの人々は文字が読めない。もちろん二〇世紀以前の彼らの過去に関する文書記録もない。
……あるとき、私はボラナの人々のあいだで出まわっているカセットテープを手にした。そのテープにはボラナにかつて存在した予言者に関する語りが録音されていた。……それからすぐ、予言者の伝承に関する聞き取りをはじめたのだが、予言者伝承の向こうにはさらに、一五世紀にはじまる膨大な歴史語りの世界が広がっていたのである………
(「はじめに」より)