「イヌイット」のタグが付いている記事

極北の大地・グリーンランドの夜明け ―THE FIRST STEPS―

2015年4月15日

ヌカ・K・ゴッツフレッセン 作・画
沢広あや 訳
岸上伸啓 監修

時は4500年前の北カナダとグリーンランド。復讐をきっかけに、人々は見知らぬ東の地へと赴くことになった。しかし薄い海氷と食料不足に悩まされ、旅は困難を極める。そして、ナヌとほんの一握りの仲間だけが生き延びたのだった。

幼い頃に目にした遠いグリーンランドの地を、ナヌは忘れることができなかった。一人前の狩人となった今、彼はまた家族とともに、その東の地を目指す。世界最北の地を探検し、ジャコウウシを獲って暮らす。その繰り返しが途絶えたのは、グリーンランド北部を旅する、ナヌとその家族らインディペンデンス人たちが、グリーンランド南部を旅する、サカック人たちと初めて出会った時であった。

「極北の大地・グリーンランドの夜明け ―THE FIRST STEPS―」は、グリーンランド人画家、ヌカ・K・ゴッツフレッセンとSILA・デンマーク国立博物館グリーンランド研究センターの共同執筆によるグラフィックノベルである。

日本図書館協会選定図書(第2950回 平成27年5月20日選定)

詳細


カナダ極北地方から父へ

2010年2月25日

昨日、カナダの中部都市ウィニペグを経由して、極北地方ヌナブト準州ランキン・インレットに着きました。明け方はマイナス35~40度。日中はマイナス20度前後でしょうか。日本は春の到来を待ちわびている日々でしょうが、こちらはまだまだ極寒です。

最初にカナダ極北地方を訪れたのは1990年夏のこと。いまから20年前のことになります。父と一緒にフロビッシャー・ベイ(現在の州都イカルイト)の空港に着いたこと、いまでも鮮明に思い出されます。最後に父と一緒に極北地方を旅したのは2005年夏。これが一緒にした最後の旅になりましたね。

最後の旅で、一緒にホエール・コーブに行けたのはよかった。お世話になった人たちに会ってもらいたかったし、ぼくが愛したイヌイットの人びと、空、大地、海、風を一緒に共有したかったから。

今日は父が生きていれば70回目の誕生日。天然の冷蔵庫で冷やしたスーパードライで乾杯といきますか。明日、ホエール・コーブに行ってきます。


極北彷徨④ 生命、それはきれいな水に宿る

2009年12月15日

kyokuhoku-houkou04-540
アザラシ猟をするボート。2005年8月撮影

「きれいな水に生命は宿る。私たちはそのことに感謝しなければならない」
河口に北極イワナを捕まえるための定置網を仕かけおえ、川の水を手に取り飲んだ後、30代のイヌイットの男性は上記の言葉をつぶやいた。

カナダ・ヌナブト準州のほとんどのコミュニティは湾沿いにあり、海にかこまれるようにある。夏の極北の海は穏やか。日本海のような荒々しい顔はなく、波ひとつない海面は鏡のよう。鏡のなかで気持ちよさそうに泳いでいる茶色い藻。ときおりこちらを伺うように顔をだすアザラシ。イッカククジラの長い牙が水面に波紋をつくり、ベルーガは優雅に水中で踊る。極寒の地ながら、極北の海の生態系は豊かだ。

だが、近年、海洋汚染を示すような事例がいくつか挙がっている。たとえば、イヌイットの女性の母乳からカナダ南部の女性のそれと比較し、濃度が何倍もある水銀が検出された例がある。狩猟採集のみの生活形態ではなくなったものの、海洋生物を補食しながらの生活は今なお続いている。汚染物質が大気に流れ、それが雨となって、極北地帯に舞い降りる。そして、食物連鎖で人間の体にいきつく。元々は人間による汚染が人間にいきつくのだから、皮肉な話だ。

詳細


極北彷徨③ カナダ極北地帯で先進7か国財務省・中央銀行総裁会議(G7)を開催できるか

2009年11月20日

kyokuhoku-houkou03-01-540
ヌナブト準州州都イカルイトの空港。2005年8月撮影

2001年2月28日のことである。北極点を目指す最前線基地が置かれるレゾリュート・ベイからオーロラの町イエローナイフに行き、それから、ヌナブト準州中部の町ランキン・インレットに向かった。日本ですべての飛行機便を予約しており、その日のうちに、州都のイカルイトに移動する予定だった。ランキン・インレットの天気は快晴。しかし、イカルイトは悪天候。予定していたファースト・エアーの便は飛ばず、数時間遅れで、カナディアン・ノースの便に乗って、イカルイトに向かうことになった。

飛び立ったはいいが、現地周辺に行くまで飛行機が無事到着できるかわからない。窓の外を見ると、飛行機はぶ厚い雲に覆われ、氷雪が激しく降っている。心弱き私は不安な気持ちに包まれていたのを覚えている。アナウンスによると、着陸を試みるとのこと。激しく揺れる飛行機。機内の人からはジェットコースターに乗っているかのような声が。飛行機は無事着陸した。あれから、極北地帯の飛行機に何度も乗っているが、あれほどの揺れと恐怖を感じたのはあのときが最後だ。着いたら着いたで、タクシーはストライキ―中。気温マイナス22度のなか、飛行場から町の中心部まで重い荷物を背負いながら、冬の行進。あの日のことはいまでも鮮明に思い出すことができる。

ことの顛末は拙著『ヌナブト イヌイットの国その日、その日 テーマ探しの旅』に詳しく書いてあるが、このことを思い出したのは、昨日読売新聞である記事を読んだからである。

2月のカナダG7、-23・8度のイカルイトで」という記事によると、来年2月5~6日に先進7か国財務省・中央銀行総裁会議(G7)がカナダ・ヌナブト準州州都のイカルイトで開催されるようだ。開催理由としては、「環境保護と北極圏開発の両立を目指すカナダの姿勢をアピールする狙い」があるらしい。記事には、「極寒の地で重要な国際会合が開かれるのは異例。カナダのメディアも開催地決定について『参加者は無事に集まれるのか』『毛皮商人や冒険家の追体験を堪能できるだろう』と驚きと皮肉交じりに報じている。」とある。

現地を知っているだけに、来年どのようになるか、不安でもあり、楽しみでもある。


極北彷徨② ベルーガが集う夏の日

2009年8月18日

kyokuhoku-houkou02-540
ホエール・コーブ村のベルーガ漁のようす。2006年9月撮影

2000~2006年までほぼ毎年、カナダ・ヌナブト準州を訪れていました。一番訪れたことがある季節が7~9月のこの季節、夏であります。夏といっても、気温は10度前後。暑い日といっても、15度ぐらい。9月にもなると、0度近くになり、雪が降ることもたびたびあります。

ハドソン湾に面したホエール・コーブ村。人口約300人のうち9割はイヌイットです。1日のほとんど太陽が隠れている冬から太陽が顔をだす夏の日。それを待っていたかのように、村の周辺にはベルーガ(シロイルカ)が集います。ベルーガ周遊を海に面した家の人が発見すると、村中の電話が鳴り響きます。また、無線機で発信。
「ベルーガがいた」

詳細


極北彷徨① カナダ・ヌナブト準州誕生10周年

2009年4月3日

kyokuhoku-houkou01-640
ヌナブト準州議会内の準州旗。
2005年9月撮影

初めてカナダ極北地方を訪問したのはいまから約19年まえの1990年7月、10歳のころでした。バフィン島にあるフロビッシャー・ベイ(現ヌナブト準州州都イカルイト)から飛行機に乗り、パングニルトゥングへ。そこから船外機付きボートでと一緒に無人島へ。無人島で作家のC・W・ニコルさんと3人で1週間ほど過ごしました。そのころの原体験から、極北および先住民イヌイットに魅せられ、イヌイット研究を志したのが1999年、18歳のときです。

詳細


蒼いお尻のぼくときみ。

2007年10月1日

カナダ極北のイヌイット 内なる心の旅
you+me@mongolian spot

礒貝日月 著

1300円(税込)

民族誌を越えた民族誌

とかく民族学者は、それぞれの民族の伝統的文化の情報伝達にこだわる癖がある。そのために、イヌイットといえば、氷の住居と犬橇(そり)というイメージがつくられてしまった。著者が居候した家は、テレビ、冷蔵庫、電子レンジをそなえ、スノーモービルもある。この現代のイヌイットの生活や、少数民族としての立場を、文学的とでもいえる、細やかで、たしかな描写力で読ませてくれるのが、この本である。
(国立民族学博物館名誉教授 石毛直道)

詳細


北の国へ!! NUNAVUT HANDBOOK (Eco‐ing.info別冊)

2003年7月1日

原著監修 マリオン・スブリエール/著者 ジョン・アマゴアリクほか/監修(日本語版) 岸上伸啓/編集(日本語版) 礒貝日月/日本語訳 ドリーム・チェイサーズ・サルーン同人

◆2003年カナダ・メディア賞「大賞」を受賞
◆2003年日本図書館協会選定図書(歴史・地理・文化)

オーロラやシロクマを見にいきませんか?

1991年4月1日、カナダ3番目の準州として、イヌイットが人口の8割以上をしめる「ヌナブト準州」が誕生した。ガイドブックとしてはもちろん、ヌナブトの現状の全体像を知ることができる一冊。

詳細


ヌナブト イヌイットの国その日その日 テーマ探しの旅

2001年11月1日

礒貝日月 著

◆2001年度慶應義塾大学塾長奨励賞受賞

20歳の若者の北極圏彷徨記

手で考え、足で書いた青春記録。AO入試花盛り!元祖・慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のAO入学生は、こんなことをやっている!
…ホワイト・ホエールことベルーガ漁に行った。…伝統的なクジラ漁の方法を若者たちに伝承しようと、何度も何度も若者にモリ打ちをチャレンジさせる。そんな彼らのひたむきな姿が、私の脳裏に焼きついている。
(本書「EPILOGUE」より)

詳細

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

link toお問い合わせ送信ページ

RSS Feed RSS