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前社主・礒貝 浩の命日。あちらを彷徨している父への手紙

2009年8月5日

拝啓

こちらは暑い日がつづいております。そちらはどうなのでしょうか。夏の強い日差しをうけ、汗が額を流れる。セミが鳴き、熱風で木々の緑が揺れる。そんな季節が今年もやってきました。あの日のことを思いだします。

2007年8月2日午前1時23分、ビール片手に、パイプ片手に、倒れました。そのまま旅支度もしないまま、8月5日午前2時34分にあちらへ出立。「1、2、3」「2、3、4」と、父が全力で駆け抜けた人生のように、慌ただしくあちらへ。いまごろ、あちらのどこを彷徨しているのでしょうか。大好きなスーパードライは売っていますか。ダンヒルのパイプタバコ、マイミクスチュアもありますか。パイプは壊れていないか、白髪の丁髷はどうなっているのか……いろいろ考えます。

早いもので2年の年月が経ちました。今年で3回忌です。清水弘文堂書房はいろいろな人のお力添えもあり、細々と出版活動をつづけています。小生は頼りない人間ですが、みんなが支えてくれています。

父が生前最後に出版した本は『みなさん、ひとあし、おさきに、さようなら』。本当に突然のことで、いまでも実感がありません。どのくらい先のことになるかわかりませんが、今度ゆっくり報告させてください。怒られることもたくさんあるでしょう。

いつか、また、どこかで、かならず、声を聞かせてください。

敬具

礒貝 浩様
2009年8月5日
礒貝日月