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時空を超えて存在する伝言板

2010年11月20日

みなさんは駅の伝言板を使ったことがありますか?最近ではその存在すら意識することが少なくなったかもしれません。それにかわる手段は、私たちの生活やコミュニケーションをどのように変えたのでしょうか。

共通の待ち合わせ場所

かつて駅改札付近でよく見かけた伝言板。

かつて駅改札付近でよく見かけた伝言板。

かつて、駅の改札の前にある伝言板付近は、誰でも知っている共通の待ち合わせ場所としてよく利用されていました。伝言板は、待ち合わせの時間にそこを離れなければならない場合などに、伝言を残し、相手にメッセージを伝える媒体として使用されていました。

伝言板には、それがある場所にのみしかメッセージを残せないという空間的制約、翌日になると駅員さんに削除されてしまうなどという時間的制約、さらに、誰でも閲覧することのできるパブリックな掲示板というプライバシー上の制約がありました。

この場所を中心にしたソーシャルな関係が築かれており、現代の言葉でいえば、ひとつのソーシャルメディアであった、ということができるかもしれません。

しかし、最近ではこのような伝言板を使用することがほとんどなくなってきました。その代わりに、私たちは携帯電話を用いて気軽にコミュニケーションをとるようになり、連絡手段が駅の掲示板以外になかった頃には許されなかった「ドタキャン(直前のキャンセル)」がされやすくなるなどの弊害も生じています。「約束の時間を守る」ということは、かつては誰もが共有していたルールの一つであり、大切にされてきた価値観でもあったのです。

ソーシャル版「駅の伝言板」

しかし、今日のソーシャルメディアの時代には、こうしたかつてのよい価値観を思い出させてくれるようなサービスや、これまでには難しかったまったく新しいコミュニケーション手段を提供してくれます。

Foursquareを使うと、例えばiPhone上で今いる場所に「Check-in」(左画面)し、その情報を友人同士でシェア(右画面)することができる。

Foursquareを使うと、例えばiPhone上で今いる場所に「Check-in」(左画面)し、その情報を友人同士でシェア(右画面)することができる。

例えば、2011年1月からの日本展開を予定しているFoursquareを使うと、ソーシャルの仕組みを使って、自分が今いる場所を友だちと簡単に共有することができます。こうした位置情報にもとづいたSNSがあることで、偶然近くに出張に来ている友人と会うことができたり、暇な時間に近くにいる友人を捜すことができたり、思いがけない再会を演出したり、空いた時間を有効に使うことができるようになりました。

思いやりや助け合いを必要なときに必要なひとに

日本初のスタートアップとして海外でも注目を集めている(日本語訳もあります)セカイカメラは、位置情報に対してタグをつけることを可能にするサービスです。セカイカメラを起動して、スマートフォンのカメラを覗くと、空中にその場所に関連した情報やメモ、広告などが表示されます。

セカイカメラで代官山から六本木方向を望む。本来は視界に入らないコンビニや物件情報などが一望できる。

セカイカメラで代官山から六本木方向を望む。本来は視界に入らないコンビニや物件情報などが一望できる。

セカイカメラを使うと、目の前にある大きなビルの裏手にあるコンビニエンスストアを、まるでビルの向こうが透けて見えるかのように見つけることができます。

これは、駅の掲示板に友人に対するメッセージを残していたことと比較すると、大きな変化です。友人やあるいは不特定多数の人に対して、その場所にいるときだけ有用と思えるような情報をメモして残しておくことができるのです。

例えば、「一番近いコンビニはそのビルの裏手にあるよ」など、ほかの人のために情報を共有することができ、知らない人同士であっても、容易に経験や知識を共有したり助け合ったりすることができるようになりました。

そこを訪れるかもしれない友人にサプライズのギフトを隠しておく

さらに最近注目を集めているGifiを用いると、ある場所を訪れた友人に対し、サプライズでお金を贈ることができます。

最近注目を集めているGifiを用いると、ある場所を訪れた友人に対し、サプライズでお金を贈ることができる。

最近注目を集めているGifiを用いると、ある場所を訪れた友人に対し、サプライズでお金を贈ることができる。

例えば、コーヒーショップなどで友人がFoursquareを使ってチェックイン(その場所にいることを共有)すると、あらかじめGifiで設定されていたギフトとしてのお金を受け取ることができます。Gifiを使うと、その場所を訪れるであろう友人に対して、仕事で疲れているときに心温まる一杯のホットチョコレートを購入するきっかけを、さりげなく隠しておくことができるのです。

ソーシャルメディアによって、たんに駅の伝言板をデジタル化したということに留まらずに、空間的な制約のあるコミュニケーションを、時間を超えて、これまでにないくらい効率的で、何よりも温かいものにすることができるのです。


著者紹介

高橋雄介

高橋雄介 (たかはし・ゆうすけ)

1980年生まれ。2003年 慶應義塾大学 総合政策学部卒業、2005年慶應義塾大学 大学院政策・メディ ア研究科修士課程修了。2008年同大学院後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。2005年より同大学院研究員として、知識ベースシステム、マルチデータベース、ビジュアリゼーション、教育およびキャリア開発におけるデータベース利用に関する 研究開発 に従事(~2009年)。2010年11月、株式会社一人企業を創業。2013年2月、米国カリフォルニア州Mountain ViewにてAppSocially Inc.を創業し、CEOに就任。専門は、データベース、知識ベース、マルチメディアデータベース、顧客開発、および、 グロースハック。2013年4月より、米国シリコンバレー在住。

(株)清水弘文堂書房

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