d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


祈れ

2011年12月10日

2010年6月27日 イフェ イロデ地区のプロテスタント教会にて

どうしようもない状況で9jaの人びとは祈る。でもそれは、困ったときの神頼みではない。

彼らはいつも、毎朝目ざめてすぐ、仕事をはじめるまえや旅立つまえ、食事のまえや集会の終了後、そして1日の終わりに、祈っている。貧富の差、権力ある者から弱き者への搾取、何十年待っても整わぬインフラなど、多くの人びとにとって、3度の食事やきょうの仕事、通学や進学もままならない。

神を信じて、感じて、感謝して祈る姿は、たくましい。右も左も行き止まり、まえに進むこともうしろへ戻ることもできない選択肢なき状況で、祈りつづけて道を切りひらいていく。

もう祈るしかないからなのか。信じてやまない心があるからなのか。

気づけばわたしは、どうしようもない日に祈るようになった。ありあまる選択肢をまえにどうしようもないだなんて、甘えた人間の戯言を神さまが聞いてくれるだろうか。

「一緒に祈ろう」「祈ってるから」「祈るのよ」
そう何度も言われた9jaの日常を思い出す。信じるつよさを、祈る力を、いま、もう一度感じてみる。

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教会での日曜礼拝で祈る人びと。この教会では毎週日曜日、朝8時半から午後1時半まで、人びとは歌い踊りながら、祈りつづける。個人で祈るときは心のなかで静かに唱えることもあるが、教会など集団のときは大きな声で唱え、手足を動かし、全身で祈る。イフェのおもな宗教はキリスト教、イスラム教徒、土着信仰だが、キリスト教徒が多い。ナイジェリアの人びとは信仰が厚く、宗教活動を盛んにおこなう。たとえば、キリスト教徒が日曜日に教会へ行くことは必須であり、それだけではなく、週2、3回以上あるいは毎日教会へ行って祈ったり、聖書学を学んだり、教会内のさまざまな活動に参加する人たちも多い。宗教活動はかならずしも信仰のためだけではなく、相互扶助をはじめとするいくつかの働きがあることも、ナイジェリアで宗教が重要視されることの理由のひとつだろう。
2010年6月27日 イフェ イロデ地区のプロテスタント教会にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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