d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


アフリカの衣

2011年9月10日

2009年11月15日 イフェ、モダケケ地区の下宿にて

糊、蝋、糸で防染して染色された、藍一色や大理石模様の染物。綿の生地にメタリックな化繊でハイライトされた織物。工場の大型機械によってプリントされた、原色でユニークな柄の布。レース編みにスパンコールの散りばめられたカラフルな布。どれもナイジェリアの伝統的・国民的な布である。いまでは国産品だけではなく輸入したものを利用することも多いが、いずれも日常から冠婚葬祭時まで、国民にひろく親しまれている。布は4.5~5.5メートル単位で売られ、人びとはそれを仕立屋に持って行き、オーダーメイドの服をつくる。

それでも大学生を中心とした若い男女は、タイトなジーパン、Tシャツ、ポロシャツ、チューブトップ、キャミソールワンピースなど、圧倒的に欧米スタイルの服を好んで着る。中国やドバイから輸入された新品の既製服も、ヨーロッパから輸入された古着も、伝統的な布と一緒に市場を彩る。

鮮やかな色合いや土っぽい風合いに魅かれて「アフリカの布」をもとめる外国人は多いけれど、ここで暮らす人びとは大陸の内外でつくられた豊富な種類の衣をまとい、お洒落をたのしんでいる。

Photo
下宿のクローゼットのなかの服。市場で綿のプリント布を買い、仕立屋でつくってもらったもの。伝統的な布のなかで、もっとも安価で日常的であるのがこのプリント布だ。毎日汗や排気ガスや砂ぼこりで汚れ、雨期だと洗濯してもなかなか乾かないため、フィールドワーク用だけでも7着はつくった。汚れの目立たない柄、汗を吸う100パーセントの綿は重宝する。大学の友人たちには「もうちょっと今風のお洒落しようよ」とよく言われたが、みずから選んでデザインする1点ものの服を着ることは、わたしにとって9jaでの暮らしのたのしみのひとつだった。プリント布や錦織の綿、そしてレースなどは、中国、東南アジア、中近東から輸入されたものが多く、それらはナイジェリア流に仕立てられ、伝統衣装としてまとわれる。欧米スタイルの既製服もそうだが、現代のアフリカの衣の多くは、世界中でつくられたものなのである。
2009年11月15日 イフェ、モダケケ地区の下宿にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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