清水弘文堂書房マーク 清水弘文堂書房 SHIMIZU KOBUNDO


2011年1月22日

ケージの扉に鼻先と前足をはげしくあてながら、胸をおどらせて吠える。大好きなトペが近づいてくる。開かれた扉から飛びだして、トペのまわりをくるくるまわって離れない。笑って、跳ねて、あお向けに寝そべってみせる、ペドロ。

この町の大きな家のほとんどに犬がいる。武装強盗や空き巣を恐れ、みな番犬を飼うのだ。広い敷地内で放し飼いをする、あるいは、日中はケージのなかに入れて、暗くなるころ敷地内で放す。ペットというより門衛。散歩に連れられている犬はほとんど見かけない。道で見かける動物といえば、ヤギとニワトリとヒヨコ。

下宿先のペドロも番犬にちがいない。「犬はくれぐれもケージに入れておいてくれ」と、訪問者たちは念を押す。セキュリティには役立つけれど、よそ者を嫌う獰猛で臭いペドロはみんなに嫌がられている。それでも、飼い主にだけは、あの笑顔を見せるのだった。

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ペドロの体をシャンプーで洗うため、片耳ずつていねいに押さえ、頭から水をかけようとするトペ。ペドロをおとなしくさせて洗うことができるのはトペだけだ。いまはもうトペは別の下宿に住んでいるが、3年まえ、この家にやって来たペドロを誰よりもかわいがったのはトペだった。
2008年11月2日 イフェ、モダケケ地区の下宿の庭にて

(毎週土曜日更新)