d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


サッカーが好き

2010年12月4日

2010年5月21日 イフェ、イレモ地区のアフォラヨンの工房まえにて

「すんませーん」
学ランを着た中学生たちは、そう言って道を開けてくれた。ざっと数えて6、7人。ふたたび道をふさいでサッカーをはじめた彼らをよそに、急いでいたわたしはまた自転車をこぎはじめた。ひさしぶりの故郷のかおり。博多湾へつづく道すがら、なま暖かい12月の風を胸に受けて思い出す……そういえば、こんなことまえにもあった。

「ア・ベッグ、ノー・ヴェックス(すんませーん、ごめんなさい)」
裸足の少年たちは、そう言って道を開けてくれた。錆びついたガードレールのゴールを端に寄せてくれた少年は、後部座席のわたしを覗きこんだ。凸凹で亀裂の入ったアスファルトが、彼らのサッカー場。日曜の午後ともなれば、ラゴスのゲットー、アジェグンレの通りはどこもかしこもサッカー少年たちで溢れる。ギニア湾へつづく道すがら、視線と砂ぼこりを頬に受け、レバーを巻きあげて窓を半分だけ閉める。これからはじまる9jaでの暮らしに、不安と昂揚から緊張していた。

「サッカーは世界共通言語」と書かれた巨大な看板、サッカー観戦用テレビの置かれた路上のテント、サッカー番組の舞台セットにイフェのアーティストが彫ったサッカーボール、みんなで汗をかきながら庭でしたサッカー……海辺への道すがら、いくつものシーンが浮かんでは消える。

Photo
2010年5月21日、イフェのアーティスト、アキンボデ(左から2人目)は、ナイジェリアの大手テレビ放送局によるワールドカップ特別番組に使用する舞台セット用装飾品の制作を依頼された。木彫家アフォラヨン(左)の手を借りながら、大きな丸太2本を使用して巨大な太鼓をふたつつくり、そこにアフリカ大陸とサッカーボールを彫った。写真は、できあがった太鼓のひとつを4人がかりで移動させ、垂直に立てようとしているところ。木製の太鼓の上(右)の部分がアフリカ大陸、下(左)の部分がサッカーボール。
2010年5月21日 イフェ、イレモ地区のアフォラヨンの工房まえにて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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