d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


つくる

2010年11月13日

わたしの作品を手にとったンゴズィ。2008年12月12日 プラトー州パンクシン、「アフターシェイブ・ワークショップ」の会場にて

ナイジェリア中部で開かれた、アーティストの国際ワークショップに参加したときのこと。

砂の地面に画用紙を敷き、そこに座ってただみんなを見つめていた。ひとり静かに黙々と手を動かす彼、鼻歌を歌う彼女、皮肉まじりに政治の話をしながら笑いあっている彼ら、昼寝に行ったまま帰ってこない彼女たち――それぞれのスタイルで、アーティストたちが作品をつくっている。手もち無沙汰でずっと砂をいじっていたら、指先と画用紙がところどころ赤茶色になった。この季節にサハラ砂漠から吹く風「ハマターン」が強くて、折れ曲がる画用紙を時どき手で押さえていたからだろうか。

ワークショップが終了する2日まえにできあがったのは、ふるいにかけたキメの細かい赤茶の砂と、その砂で描いた絵 。砂は、みんなで飲んだネスレの「ミロ」の空き缶と袋に詰め、絵は洗濯バサミで物干し紐にとめた。絵は風に揺れて飛んで行った。みんながさわった砂は、風に舞って大地に散った。人にふれられ、自然と同化したものがわたしの作品となった。

参加アーティストたちみんなとナイジェリアの自然が、「つくる」ということを教えてくれた。

Photo
わたしの作品を手にとったンゴズィ。パンクシンの赤茶色の砂が詰まった「ミロ」の袋に手を入れて、あたかも「ミロ」に見えるその砂をさわっては、ひたすら笑っていた。ンゴズィはナイジェリア東部から来たアーティストで、彼女は陶器の作品を完成させた。
2008年12月12日 プラトー州パンクシン、「アフターシェイブ・ワークショップ」の会場にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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