d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


オリジネーター

2010年10月16日

依頼された作品を制作している「オリジネーター」

「アーティストってのは、なんでも自分で創りだす。なんでもできるんだ」
自分自身を信じている。だからそう自分に名づけた、「オリジネーター(創造する人)」と。

「アーティストとしてやっていくことが大変だって? そんなことちっともないね」
わたしの口ぐせ、「なかなか大変そうですよね、このお仕事……」をはらいのけた、「オリジネーター」。
内職を持つアーティストたちをさして彼は言う。
「あんなのアーティストじゃないね」

看板、バナー広告、チラシ、ステッカー、名刺など、仕事のほとんどは依頼を受けて制作するもの。彼はそのかたわらで、布を染めたり、絵を描いたり、地元の中学・高校生向けに美術の教本を書いたりしている。国内外の美術展に出展したことはないけれど、イフェの街でアーティスト「オリジネーター」を知らないものはいない。

トウモロコシ市場を臨むアトリエには、コンクリートに開けられた正方形の穴がひとつ。ガラスも網戸もないその窓には、「オリジネーター」が染めた絞り布のカーテン。差しこむ光は雨季の大きな雲に時おりさえぎられながらも、彼の手元を明るくしている。

Photo
依頼された作品を制作している「オリジネーター」。隣の靴修理屋の婦人の娘、トビはよくここ来て、「オリジネーター」の仕事をそばでずっと眺めている。
2008年8月7日 イフェ、イレモ地区の「オリジネーター」のアトリエにて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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