d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


アーティストたちよ

2010年9月18日

金属の彫刻作品に「しわ」をよせ、かたちをつくっていくエル・アナツイ

降りやまない雨のなか、ナイジェリアから帰国した。残暑の厳しい日本にいて、9jaの朝の肌寒さを思い出せない日もあった。目が覚めてあの肌の感覚をとりもどす今日日、ひとりのアーティストが来日した。

アフリカのアーティストとして、日本の博物館で初めての大規模な個展が開かれるエル・アナツイは、ガーナ出身だがナイジェリアに在住して35年になる。使い古しの、つまり人の手が触れた金属を使って制作される彼の彫刻は、そこへ吸いこまれるような圧倒的迫力と、包みこんでくれる布のようなやわらかさを帯びている。

夕立がやんで茜雲が浮かぶと、エル・アナツイは9日間過ごした日本をあとにした。彼が向かったナイジェリアでは、ほかの国々と同じように、今日も、想像しては創造して暮らしている人びとがいる。著名な彼や彼女も、名もなき翁や若者も。なぜ彼らは創りつづけるのだろうか――そう思いをめぐらせているうちにあたりは暗くなって、今、南の空にぼんやりと、半月がかがやいている。

Photo
金属の彫刻作品に「しわ」をよせ、かたちをつくっていくエル・アナツイ。彼の作品は、大阪府吹田市の国立民族学博物館にて、2010年9月16日から2010年12月7日まで展示される。その後も2011年8月まで、日本国内3か所の美術館へ巡回する。
2010年9月10日 大阪 国立民族学博物館特別展示場にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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