d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


父を手伝う

2010年7月10日

父親の木彫作品にニスを塗るダミロラ。階段の下、スズキのバイクが前にとめられた工房(写真右奥)では、父親が作品をつくっている。2010年6月7日 イフェ、イレモ地区のアヨデレさんの工房にて

「ぼくはやりません。木彫でやっていくのはきびしいから」

彫刻家のアヨデレさんの次男ダミロラは、大学の受験勉強をしながら携帯電話の修理店で働いている。修理の技術はこの2年で覚えた。今年からは毎週1、2回、ラジオ番組に出演して番組のつくりかたも学んでいる。

午前中にアヨデレさんを訪ねると、たいてい、ダミロラは彫刻にニスを塗るのを手伝っている。
「お父さんのお手伝い、好きと?」
「はい、もちろん」
すごくクールに、すこしてれくさそうに、口角をゆるやかに上げ、答える。

工房の前には、アヨデレさんを乗せて走りつづける1983年製のスズキのバイク。溢れんばかりの木くずを散らばせながら、父親は黙ったまま、ただもくもくと彫る。ニス塗りを終えるとすぐ、身だしなみをととのえ、自分の仕事場へ出かける息子。その横顔、手先の起用さは、父親にそっくりだ。

Photo
父親の木彫作品にニスを塗るダミロラ。階段の下の工房(写真右奥)では、父親が作品をつくっている。
2010年6月7日 イフェ、イレモ地区のアヨデレさんの工房にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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