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久保忠行 著
問題は、難民というラベルが突きつける固定観念である。
故郷を追われ、難民キャンプや遠く離れた国で暮らす難民たち。ビルマ(ミャンマー)、タイ、アメリカでたくましく生きる姿を丹念に追い、その姿に新しい光をあてるフィールドワーク。
「迫害される少数民族」が難民になるという図式は、書物から学んだものと一致する。そうした話に触れるたびに、まるで自分が歴史の証人になったような気になり、背筋が伸びる思いをした。
しかし、困難な経験を自ら語る「迫害される少数民族」に出会うたびに、違和感を覚えることもあった。それは、まるで迫害の経験が定型化されているのではないか、というものである。………難民に無力さがともなうことには違いはない。しかし、それを主張するという行為に、人間が生きるうえでのたくましさを感じるとともに、一般的な難民イメージでは難民を適切に理解できないのではないかと考えるようになった。
………そこで、本書では難民というラベルの意味を検討しつつ、当事者が難民であることを受容し、ときに利用しながら生きる姿を明らかにする。
――緒言「問題の所在」より
日本図書館協会選定図書(第2929回 平成26年11月19日選定)
書籍詳細
早川忠孝 著
マジメに生き抜く方法
人とつながり、たくさんの言葉をもらえばいい
東大から自治省を経て弁護士となり、衆院議員時代は「穏健保守」を自称した著者が、人生に役立つメッセージをお届けします。戦直後の長崎での幼少期、「良識派」として全共闘に対峙した大学時代、三度の落選を経て当選した議員時代、震災復興と若者支援のプロジェクトに奔走する現在―さまざまな経験をした著者が、執筆を続ける中で読者とともに考えた、厳しい社会状況にあっても勇気を持ち挑戦をつづけるための知恵。マジメに生きてきた姿は大人も共感できるはず。
はじめに
一時間目 人生から学ぶ
二時間目 この国のかたち
三時間目 言葉は宝物
四時間目 大切にしたいこと
給食の時間
五時間目 若い人たちへ
書籍詳細
大場千景 著
500年もの間、文字を使わずに語り継がれた歴史。
文字を持たない民族ボラナはどうやって歴史を記憶し、伝えているのか。
物語り、詩、時間、構造とは――。
7年間におよぶエチオピアフィールドワークの集大成
現役の語り手からの聞き取りテクスト(日本語訳)も豊富に掲載
私は、エチオピア南部のサバンナに暮らすボラナとよばれる人々の歴史を研究している。……ほとんどの人々は文字が読めない。もちろん二〇世紀以前の彼らの過去に関する文書記録もない。
……あるとき、私はボラナの人々のあいだで出まわっているカセットテープを手にした。そのテープにはボラナにかつて存在した予言者に関する語りが録音されていた。……それからすぐ、予言者の伝承に関する聞き取りをはじめたのだが、予言者伝承の向こうにはさらに、一五世紀にはじまる膨大な歴史語りの世界が広がっていたのである………
(「はじめに」より)
書籍詳細
早川 陽 著
アサヒ・エコ・ブックス No.36
景色を描くあなたへ。
風景を見るすべての人へ。
日本画は、東洋の「山水」と西洋の「風景」のあいだを揺れ動きつづけてきた。その「揺れ」から生じるオリジナリティ、「盆景性」。自然を「盆」におさめて愛する日本の美意識を解きあかす。
日本図書館協会選定図書(第2850回 平成25年2月27日選定)
創作、美術教育、美術史・文化史研究が、これほどバランスよく相互補強するかたちで、著者自身のヴィジョンを構築している論文に出会うことは、めったにない。私にもそうだったように、きっと様々な分野の方に刺激を与えてくれるだろう。ぜひご一読をお薦めしたい“アイデアの宝庫”の本である。
―― 佐藤道信(東京藝術大学美術学部教授)
日本画の景色観を巨視的視点から眺めることで「日本画」概念の「揺れ」を見てとり、あるいは「日本画」と切りはなされた盆栽や文人画などの生活文化が山水性を保持している構図に「日本画」の「ねじれ」を見る。この視点は文献研究と同時に、日本画の制作を通して過去の心性を感覚的に会得しようとする作家活動、盆栽を育て、鉢を作ることで過去の文化を総体として実感する営み、また過去の眼差しの蓄積を読みとくような美術教育実践から立ちあがってきたものである。
―― 小松佳代子(東京藝術大学美術学部准教授)
日本画家としての早川による「盆景性論」は、美術領域内だけでなく、自然環境とくにちきゅう環境の実感・認識にとっても貴重な観点を示唆する。高密度情報社会化時代の進展とともに、相対的に空間イメージが凝縮し、多様に複雑化するちきゅう環境における、「盆景性」の意味はいっそう重要さを深めると考える。
―― 永延幹男(南極海洋環境生態学者・(独)水産総合研究センター・農学博士)
書籍詳細
高安和夫 著
アサヒ・エコ・ブックス No.35
自然を身近に感じれば社会が変わる!
銀座ミツバチプロジェクトの中心人物がはじめて語る
銀座の都市養蜂と屋上緑化プロジェクトの舞台裏。
ミツバチが結ぶ大都市・銀座と日本各地の里山との絆。
ミツバチによる地域活性化のヒントとは?
日本図書館協会選定図書(第2837回 平成24年11月7日選定)
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C・W・ニコル/南 健二 著
C.W.ニコル・アファンの森財団協力
来日50年記念出版!
きのうも、きょうも、あすも旅。
1940年、日本中を放浪した俳人はこの世の旅を終え、世界中を探検する作家はこの世に生を授かった。二人の男の不思議な運命。
長い旅の帰趨は森だった。
豊かな森は生きる力を与えてくれる。
未来を信じて緑をみずからの力で取り戻した男の物語。
「森の再生」と「心の再生」の視点で震災復興プロジェクト活動中。
森を再生する作家・ニコルの貴重なプライベート写真に旅する俳人・山頭火の俳句をつけたユニークな書籍。
書籍詳細
川喜田二郎記念編集委員会 編
岡部聰/米山喜久治/永延幹男/國藤進/三村修/三浦元喜/桑原進/川井田聰/井上敬康/桐谷征一/小島通代/笠松卓爾/丸山 晋/浅井考順/水谷忠資/近藤喜十郎/笹瀬雅史/佐藤光治/青天目利幸/高橋芳子/山浦晴男/関根康正/田野倉達弘/ペマ・ギャルポ/野村俊夫/高山龍三 著
偉大な師・川喜田二郎を越えて、いざ融然の探検へ!
2009年に惜しくも逝去されたフィールドサイエンスの先駆者であり、文化人類学者、地理学者であった川喜田二郎。恩師への追悼の意とともに、文化人類学者、実業家、医師など総勢26名による探検的追悼論考集。フィールドワーク論、FS-KJ法、移動大学などの最新動向に関する論考・報告が満載。知の奥へ、心の奥底へいざなう一冊です。
書籍詳細
香坂 玲 編
大震災の記憶から私たちが学ぶべきことは何か?
私たちに問われている「知」とは何か?
BCP(business continuity plan)プランに役立つ1冊!
「レジリアンス」とは何か? いま私たちはこの言葉の意味を深く考える必要がある。
―― 武内和彦(国際連合大学副学長)
震災後にどのように対応したかといった具体的な事例と学術的な考察を取り上げた本書は示唆に富み、注目に値します。
―― トーマス・エルムクヴィスト(ストックホルム・レジリアンス・センター教授)
書籍詳細
月尾嘉男 著
日本図書館協会選定図書(第2748回 平成24年5月23日選定)
社会は単純に進歩しているわけではない!
時空の彼方へ旅立ってみよう!
共生思想が維持する自然環境(ニュージーランド・マオリ)
何回の島々に展開する伝統文化(ミクロネシア諸島の人々)
雲上の湖上で究極の地産地消(ペルー・アイマラ)
急峻な高地で保全される生物資源(ペルー・ケチュア)
アメリカが見習った先住民族の思想(アメリカ・イロコイ)
改造を拒否して子孫へ環境を伝承(アメリカ・ナヴァホ)
狩人の精神が維持する極北生活(カナダ・イヌイット)
二千年間砂漠で維持される遊牧生活(モンゴル・ハルハ)
極地に実現する生命圏域(ラップランド・サーミ)
過酷な自然を数万年間維持する先住民族(オーストラリア・アボリジニ)
山岳地帯に実現する少数民族の共生(ベトナム・ヌン)
世界に未来を提示した幸福国家(ブータン)
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