帰り道
2010年11月20日

疲れているのに、お腹がすいているのに、トイレをがまんしているのに、家路は遠かった。バスに乗りこめば、隣前後の人たちとの「ふれあい」がまたはじまる。その日の汗と砂ぼこりが染みついた体を、たがいにくっつけて座る。いつもの渋滞や運転手の荒い運転に、みんなが野次やジョークを飛ばす。
2010年11月20日

疲れているのに、お腹がすいているのに、トイレをがまんしているのに、家路は遠かった。バスに乗りこめば、隣前後の人たちとの「ふれあい」がまたはじまる。その日の汗と砂ぼこりが染みついた体を、たがいにくっつけて座る。いつもの渋滞や運転手の荒い運転に、みんなが野次やジョークを飛ばす。
2010年11月13日

ナイジェリア中部で開かれた、アーティストの国際ワークショップに参加したときのこと。
砂の地面に画用紙を敷き、そこに座ってただみんなを見つめていた。ひとり静かに黙々と手を動かす彼、鼻歌を歌う彼女、皮肉まじりに政治の話をしながら笑いあっている彼ら、昼寝に行ったまま帰ってこない彼女たち――それぞれのスタイルで、アーティストたちが作品をつくっている。手もち無沙汰でずっと砂をいじっていたら、指先と画用紙がところどころ赤茶色になった。この季節にサハラ砂漠から吹く風「ハマターン」が強くて、折れ曲がる画用紙を時どき手で押さえていたからだろうか。
2010年11月6日

縁あって、ナイジェリアのアーティストたちが主催する国際ワークショップに参加することになった。熱帯にあるイフェから北上し、陸路13時間。乾燥した高原地帯に入って辿りついた会場は、赤茶の砂の舞う.台地にあった。車を降りて、土で覆われたボンネットに指で線を描く。赤茶色の背景に、不器用な線画が浮かびあがる。
2010年10月30日

2003年雨季、ボラデさんの弟子だったゴケにはじめて会った。当時彼は、アトリエの奥で作品にヤスリをかけたり、留守番したりしていた。同い年だから、同級生のように色いろな話をした。
2010年10月23日

9jaの若い女性たちは、髪型のことをつねに意識している。
彼女たちの髪には生まれつき細かいウェーブがかかっており、それが絡み合いながら上向きにふくらむように伸びる性質をもっている。だから、伸びてきた髪は編みこむか、専用のクリームを使って、ふくらみを押さえながら髪を下向きになでおろして束ねている。編んだ髪は2週間をめどにほどき、洗って、またあたらしく編みなおす。
2010年10月9日

真昼の太陽が照りつけて、車内は蒸れていく。左右に座る人たちと密着した太ももは汗でにじんでいく。メール着信音が鳴りはっとして、手さげ袋をまさぐる。
“Please call me. I love you.” (「電話ください――あなたのこと思っています」)
つかんだ携帯に表示された、「いつもの」テキスト・メッセージ。渋滞停車中の満員バスのなか、ひとりほほえむ。
2010年10月2日

発車するやいなや、乗客全員が大声で祈った。
「神よ、どうかわれわれを無事に目的地へ連れて行きたまえ」
メーターの針は、時速90キロと110キロを行ったり来たり。風でおくれ毛が頬にあたって痛む。エンジンの上に座る太ももの裏は汗でぐっしょり。運転手がギアチェンジするたびに、シフトレバーと彼の右腕がわたしの左膝をつつく。走行距離は25万9027キロメートルを越えていく。
2010年9月25日

結局ね
一緒やったんよ、遠い異国の地へ行っても
みんながそう
嫉妬したり、抱きしめたり、絶交したり、祈ったり
うらやましい、愛おしい、腹立たしい、元気でいてほしい
(株)清水弘文堂書房
TEL 03-3770-1922 FAX 046-875-8401
Copyright © 2008-2010 Shimizukobundo, All Rights Reserved.