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帰り道

2010年11月20日

2009年1月29日 イフェ、オバルフォン通りにて

疲れているのに、お腹がすいているのに、トイレをがまんしているのに、家路は遠かった。バスに乗りこめば、隣前後の人たちとの「ふれあい」がまたはじまる。その日の汗と砂ぼこりが染みついた体を、たがいにくっつけて座る。いつもの渋滞や運転手の荒い運転に、みんなが野次やジョークを飛ばす。

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つくる

2010年11月13日

わたしの作品を手にとったンゴズィ。2008年12月12日 プラトー州パンクシン、「アフターシェイブ・ワークショップ」の会場にて

ナイジェリア中部で開かれた、アーティストの国際ワークショップに参加したときのこと。

砂の地面に画用紙を敷き、そこに座ってただみんなを見つめていた。ひとり静かに黙々と手を動かす彼、鼻歌を歌う彼女、皮肉まじりに政治の話をしながら笑いあっている彼ら、昼寝に行ったまま帰ってこない彼女たち――それぞれのスタイルで、アーティストたちが作品をつくっている。手もち無沙汰でずっと砂をいじっていたら、指先と画用紙がところどころ赤茶色になった。この季節にサハラ砂漠から吹く風「ハマターン」が強くて、折れ曲がる画用紙を時どき手で押さえていたからだろうか。

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ジェイコブに誘われて

2010年11月6日

アーティストたちのことを知ろうとしながらも、作品をつくるということがまったくわからない。とにかくわたしもやってみた。

縁あって、ナイジェリアのアーティストたちが主催する国際ワークショップに参加することになった。熱帯にあるイフェから北上し、陸路13時間。乾燥した高原地帯に入って辿りついた会場は、赤茶の砂の舞う.台地にあった。車を降りて、土で覆われたボンネットに指で線を描く。赤茶色の背景に、不器用な線画が浮かびあがる。

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同級生

2010年10月30日

日曜の朝、美術学部の様子を見に行くと、ゴケが課題にとりかかっていた。

2003年雨季、ボラデさんの弟子だったゴケにはじめて会った。当時彼は、アトリエの奥で作品にヤスリをかけたり、留守番したりしていた。同い年だから、同級生のように色いろな話をした。

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ヘアスタイル

2010年10月23日

美容師はトインの自毛をすべて編みこみ、これから、針(頭部の頂点付近、編みこまれた髪に刺してある白っぽい線)と黒い糸(針から垂れている黒い線)でその自毛につけ毛を縫いつけていく

9jaの若い女性たちは、髪型のことをつねに意識している。

彼女たちの髪には生まれつき細かいウェーブがかかっており、それが絡み合いながら上向きにふくらむように伸びる性質をもっている。だから、伸びてきた髪は編みこむか、専用のクリームを使って、ふくらみを押さえながら髪を下向きになでおろして束ねている。編んだ髪は2週間をめどにほどき、洗って、またあたらしく編みなおす。

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オリジネーター

2010年10月16日

依頼された作品を制作している「オリジネーター」

「アーティストってのは、なんでも自分で創りだす。なんでもできるんだ」
自分自身を信じている。だからそう自分に名づけた、「オリジネーター(創造する人)」と。

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Please call me. I love you.

2010年10月9日

“Please call me. I love you.” (「電話ください――あなたのこと思っています」)

真昼の太陽が照りつけて、車内は蒸れていく。左右に座る人たちと密着した太ももは汗でにじんでいく。メール着信音が鳴りはっとして、手さげ袋をまさぐる。
“Please call me. I love you.” (「電話ください――あなたのこと思っています」)
つかんだ携帯に表示された、「いつもの」テキスト・メッセージ。渋滞停車中の満員バスのなか、ひとりほほえむ。

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海を渡り、陸をゆく

2010年10月2日

2010年8月14日 イフェからイバダンにつづくバイパスにて

発車するやいなや、乗客全員が大声で祈った。
「神よ、どうかわれわれを無事に目的地へ連れて行きたまえ」

メーターの針は、時速90キロと110キロを行ったり来たり。風でおくれ毛が頬にあたって痛む。エンジンの上に座る太ももの裏は汗でぐっしょり。運転手がギアチェンジするたびに、シフトレバーと彼の右腕がわたしの左膝をつつく。走行距離は25万9027キロメートルを越えていく。

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まだ見ぬ孫たちへ

2010年9月25日

アブジャの司法学校に通うトインが、ラゴスの実家で暮らす息子のロティミを連れ、イフェのわたしを訪ねてくれた。ふだんは離れ離れに暮らす親子が一緒に過ごした、つかの間の3日間だった。

結局ね
一緒やったんよ、遠い異国の地へ行っても
みんながそう
嫉妬したり、抱きしめたり、絶交したり、祈ったり
うらやましい、愛おしい、腹立たしい、元気でいてほしい

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アーティストたちよ

2010年9月18日

金属の彫刻作品に「しわ」をよせ、かたちをつくっていくエル・アナツイ

降りやまない雨のなか、ナイジェリアから帰国した。残暑の厳しい日本にいて、9jaの朝の肌寒さを思い出せない日もあった。目が覚めてあの肌の感覚をとりもどす今日日、ひとりのアーティストが来日した。

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