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犬ごころ、人ごころ


ニューカマー増加によって現れた邪な「人ごころ」

2011年10月14日

しばらく写真の撮り方が続いていましたが、この辺でふたたび本来の路線に少し戻りたいと思う。

最近、私の周辺には「○○ドゥードル」という種類の犬が急激に増えてきた。

もともとは、約30年前に動物アレルギーを持つ人の介助犬になることを目的として、いずれも賢さ・明るさ・優しさをあわせ持つラブラドール・レトリーバーとスタンダード・プードルの交配によってオーストラリアでつくられた「オーストラリアン・ラブラドゥードル」で、DOODLEの”D”はプードルのPをさかさまにしたといわれている。

そのドゥードルにはラブラドールではなく、ゴールデン・レトリーバーとのハイブリッドである「ゴールデン・ドゥードル」も存在し、このゴールデン・ドゥードルの方が、私の周辺に急激に増殖中なのである。

気がついてみると、そのゴールデン・トゥードルは6頭を数え、ラブラドゥードルを含めるとドゥードル種は合計8頭で、大型犬の最大派閥となってしまった。

ドゥードルは成犬になるとだいたい体高70〜80cm、体長も70〜80cm、体重30kg程度と、純粋なゴールデンやラブよりもやや大型になるといわれ、毛色もホワイト・クリーム・ブラック・チョコ・レッド・ゴールドなど豊富で、なかにはチョコ/ホワイトなどのコンビカラーになる個体もある。特徴はプードルの特徴である毛の抜けにくさ(レトリーバー種はよく抜ける)や、長い足(レトリーバー種は短足が基本)を受け継いでおり、性格は穏やかでヤンチャすぎず、人なつっこく、そして賢い。また、毛はぬいぐるみのようにモコモコ、フワフワなのも特徴だ。

そんなドゥードルが急激に増えた一番の理由は、近所のペットショップが重点的にこの種の子犬を販売しはじめたからで、一度そのパピーを見て、そして触れてしまうと、虜にならない人はまずいないと思われるほど圧倒的にかわいい。当然口コミでも広がり、そして結果として、周囲にドゥードルが増えてしまったわけである。

もちろん私も噂を聞きつけ、すぐにそのペットショップに見に行った。そしてパピーに触ってかわいがらせてもらった。子犬にも慣れている私だが、あまりにもかわいすぎ、その場で連れて帰りたいと大きく心を動かされたほどだった。きっと多くの人が同じような気持ちになり、飼う家庭が増えたのだろう。

ということで、最近の散歩はまだあどけない子どものドゥードルたちにかこまれていることが多い。当然飼い主さんも今まで交流してきた人たちとは異なる新しい人たちで、犬を飼った経験がある方もいれば、はじめての方もいる。また、ドゥードルも新犬種のようなものだから、この犬に関する情報や知識も少なく、手探り感は否めない。おまけにまだみんな1歳にも満たない(例外もいるが)子どもばかりなので、ヤンチャ盛り。しつけもいまが真っ最中のとき、その上、子犬には見えないほど身体はすでに大きくて立派だから、どの飼い主さんも犬を散歩しているのか、自分が散歩されているのかわからないぐらいに悪戦苦闘している。要するに犬にとっても、飼い主にとっても、いまがまさに一番大変で大切な時期なのだ。

多少犬関係の情報や知識に詳しく、この散歩場所の先輩でもある私と相棒の女性は、顔見知りになると自然とこのニューカマーの方々に、気がついたことをいろいろアドバイスするようになっていった。圧倒的な存在感があるドゥードルたちなので、いつも散歩に来る人たちも自然と近寄ってきては、この新顔のワンコたちをかわいがり、自分の犬とも挨拶をさせ、飼い主さんともコミュニケーションをかわしていく。すでにひとつのコミュニティーができあがっているいつもの散歩エリアでは、ドゥードルに占領されたようになっていることと、いきなりワンコの世代が若返ったというのが最近のもっぱらの話題なのだ。

ただ、厄介なことに、眉を顰めるような事態がないわけではない。ここに集う犬にしても、その飼い主にしても、いろんなタイプがいるわけで、珍犬種、かわいい子犬、そしてニューカマーと3要素が揃っている状況を前にすると、エゴの類いの「人ごころ」もかなり顕著に露出してくるからだ。

その代表的な例が、犬にいきなりオヤツを与えるという行動である。今回のニューカマーたちに対してもそういう行動をとる人がいた。飼い主に対して許可を得ることもなく、いきなり近づいていって犬の鼻先にオヤツをちらつかせて与えたのだ。それも1回ではなく、その後も何回か許可なく与えていたようだった。その方の行動は、明らかにしつけもまだ終わっていないニューカマーの子犬を、自分に手なづけてしまおうというふうにしか私には見えなかった。もちろんそのオヤツを使ってしつけのようなことを行ったわけではなく、飼い主さんとコミュニケーションをとっていないわけだから、どの辺までしつけが進んでいて、またどんなタイプのしつけを行っているのか、どんな方針で育てていくのかなど知る由もない。それなのに一番大切な時期にいきなりオヤツを与えるのだ。のちに与えられた犬の飼い主さん(女性)と話をしたら、やはりそれにはかなり困っていたようで、しかもそれを行っていた人は相当年輩の男性だったから、直接は言いにくかったようだ。

なぜそんな行動をとるのだろうか? やはりこのニューカマーのかわいい犬を手なずけてやろうと解釈するのが自然だろう。しかもその上、その飼い主さんに対して「犬通」であるというアピールも滲ませたらしい。実際、まだ若いその犬の飼い主の女性に対して、その方は上から目線でかなり間違った犬を飼う上での考え方や知識を披露している現場にも、私は遭遇してしまった。

もちろんその方も大型犬を飼っているから、犬に関して素人というわけではない。しかしそれがかえってアダとなり、自分は「犬通」だと勘違いしているからタチが悪い。何しろ、その方が飼っている犬は、この近辺では有名なカミツキ犬で、犬も人も、そして私たちも被害にあっているからだ。ただその方は普段、そういうオヤツをむやみにあげるようなことはしないと記憶している。なのになぜ? ドゥードルがあまりにも珍しく、かわいいからか、それともニューカマーたちがそういう事情を知らないうちに……ということなのだろうか、いずれにしても、ピュアな「犬ごころ」を味わいに行っている場で、この手の邪な「人ごころ」には触れたくないし、かいま見たくもないものだ。

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ゴールデン・ドゥードルのダフィーくんとキンノスケくん


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ちょっと遅れてこの場所にデビューしたアンジーちゃん


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おてんば全開のスミレちゃん


著者紹介

池野谷 健二(いけのや けんじ)
Editor, Photographer, Writer, DTP Director
湘南・鵠沼在住
ken [at] dogphoto.jp ([at] を @ に変えてください)

出版社勤務を経てから平成2(1990)年に独立。様々な編集・制作業務に携わり、20年以上にわたる雑誌編集長のキャリアも持つ。現在はフリーとして活動中。

1997年、ゴールデンレトリーバーのセナ(♂)を飼い始めたことがキッカケで犬の撮影を始め、2002年に2匹目のアンディ(♂)も家族の一員に。それからは愛犬が生活の中心にいるという生活となる。2010年4月、初代のセナが亡くなり、2011年3匹目のディロン(♂)が家族に加わり、現在は2匹のゴールデンとともに暮らしている。

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