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ソーシャルメディアを使ったリクルーティング(前編)

2010年9月10日

今回も研究に関する話を離れて、「ソーシャルな働き方」について、考察してみたいと思います。

ソーシャルメディアを使ったリクルーティング

図1. Twitter上で求人情報が拡がっていく様子。RTにより、友人からさまざまな人へ情報が拡散していく。


ソーシャルメディアを用いたリクルーティング活動について、みなさんはどのようなイメージをお持ちですか?

最近は、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアを用いて、自分を積極的に売りこんだり、逆に求人広告を出したりといった話を、ちらほら聞くようになってきました。”Social Recruiting”(注1)という言葉が使われるようになっている欧米と比較して、日本ではまだそれほど浸透していないとはいえ、筆者の周辺のスタートアップ企業やNPOなどでもTwitter上で求人情報を告知するようになっています。

図1は、Twitter上で友人からその友人へと、信頼できる友人からの情報として求人情報が拡散していく様子を示しています。最初にFlutterScape社FounderでCTOであるAri Awan氏がTwitter上で求人情報をTweet(掲載)した後に、同社のFounderでCEOであり筆者の友人でもある柿山丈博氏がRT(ReTweet:Twitter上での再つぶやき。再掲載)したことにより筆者に伝わり、筆者がすぐにRTすると、筆者のTweet(つぶやき)をFollow(購読)しているNetPrice.com前田紘典氏によりRTされていく様子を示しています。

優秀な人材にはソーシャルメディア上で直接コンタクト

図2. LinkedInで公開することができる公開プロフィール(履歴書情報)

カリキュラムやキャリアを計算でデザインする」の回でもご紹介したLinkedIn上では、登録しているユーザが実際にキャリアアップを行っています。ユーザが求職者として、自らの職歴や実績などを積極的に開示し(図2は筆者の公開プロフィールです)、さまざまなビジネス・パーソンとネットワーキングをしながら、現実世界における転職活動を効率的に進めるための仕組みが用意されています。

一方で、求人をする企業側も、ヘッドハンターなどを介さずに、LinkedIn上で公開されているプロフィールを閲覧したり、ほかのユーザによるレコメンデーション(推薦文)を参照しながら、(有料の)メール機能を用いて直接コンタクトをとり、優秀な人材の発掘をするというモデルが一般的になってきています。

検索型広告を使ったユニークな就職活動の例

さらに、厳密にはソーシャルメディアではありませんが、Googleの検索連動型広告を使ったユニークな就職活動の例があります[1]。

図3. Googleの検索連動型広告を使ったユニークな就職活動の例。

特にコネも実績もないAlec Brownsteinという男性が、広告関係の仕事をするために、自分をアピールする広告を掲出したという例(図3)です。彼は、ニューヨークの超大物広告関係者が自分の名前でエゴサーチ(自分自身について検索)したときに検索結果の最上位に自己アピールが表示されるように、Google Adwords(広告)を使って直接その大物にアピールする広告を出しました。この就職活動の結果は、5人のクリエイターに広告を出し(=自己アピールをし)、4人のインタビュー(就職面接)を受けることができ、その結果2人から実際に採用のオファーを受けることができました。これにかかったGoogleの広告費はわずか6ドルということです。さらに、彼はこの行為により、セルフプロモーション分野で2つのメジャーな広告賞(The One Show、The Clios)も獲得しました。

有名人のみならず、エゴサーチは誰でもしてしまうものです。みなさんも、自分自身のみならず、新しく人と知り合った際に、その人の名前をGoogleで検索したり、FacebookやTwitter上で探した経験があるのではないでしょうか。同じように、ソーシャルメディア上では、ソーシャルストリームのみならず、低コストな広告にも、採用や売りこみについて無限の可能性があります。

(注1) “Social Recruiting”については、以下のサイト(日本語)に、海外の事例がよく紹介されていますので、参考にしてみてください。

(次回に続く)

参考文献

  1. [1] Mashable, “HOW TO: Land Your Dream Job Using Google AdWords”.