一人企業


人生と世界を変える。気軽に

2011年1月22日

みなさんは、毎日の生活のなかで、世界のなかで誰かのために自分に何ができるかを考えることがありますか? 最近では、そんな思いを気軽に実行に移すことのできるサービスが話題を呼んでいます。

日常と非日常の距離

世界には貧困や飢餓、戦争や紛争といったあらゆる問題があふれています。しかし、そうした国際的な問題だけではなく、国内でも、身近なところにたくさんの問題があります。

直接その問題に触れたり、気づいたりしたとき、その問題が自分にとって身近なものに感じられることもあります。しかし、自分に何ができるか考えてみたところで、個人では限界があります。自分自身のことで精一杯だったり、地理的な制約が大きいために直接現地に赴くことができなかったり、国際的な仲介機関に任せても使途が不透明に感じられたり、依然、敷居が高いのが現状です。

誰かの人生を変える。気軽に

こうしたなか、何かを必要としている人と、潜在的に彼らの力になれる人を結びつける仕組みとして、KivaKickstarterといったサービスが注目を集めています。

KivaKivaは、善意を必要としている人と世界中の人びとを結びつけるNPOです。Kivaの手法は、マイクロレンディング(少額融資)、ソーシャルレンディング(ソーシャルな融資)と呼ばれており、誰でも気軽に$25から融資をすることができます。Kivaのミッションは、貧困緩和を目的に、融資を通して人びとをつなぐことです。ソーシャルの力を借りながら、地球の裏側の起業家に融資を行うことで、個人に力を与えることができるという考え方は、一人企業と同じ未来を目指しています。特に、KivaのPresidentであるPremal Shah氏の考え方にはとても説得力があります。

「われわれの本当の最大の敵は、たぶんZyngaだと思う。ほかのNPOたちではない。Zyngaなんかとわれわれは、人びとの関心を奪い合っているのだ。夜の2時間、Farmvilleに夢中になっている人の関心を、どうやってウガンダの飢えと貧困に向けることができるのか。Kivaの上で、本物の農園作りに手を貸すことが、Facebookの上の仮想農園以上におもしろい、と人びとが思ってくれたら、われわれの勝ちと言えるのだ。PremalShah

これからのKivaは、個人の自己実現を助けるサイトだ、と考えてもいい。そして、あなたが今、ほんのちょっと手を貸すだけで、ほかの人たちの人生を大きく変えることができるのだ、ということを分かってもらいたい。Zyngaでゲームをするだけでは、それだけの感覚を持つことはできないが、Kivaなら持てる。それが、Kivaの’ゲーム’の最大の売りになる」 (TechCrunch TVのインタビューより引用)

世界を変える。気軽に

Kickstarter一方でKickstarterは、クリエイティブなもの(デザイナー、音楽家、映画監督など)を投資の対象として、世界中の人に対して気軽にプロジェクトを売りこんだり、10ドル程度の小額から気に入ったプロジェクトに対して気軽に投資をすることができるプラットフォームです。Kickstarterの仕組みは、クラウドファンディング(世界中の人の力を結集して資金を募る)、マイクロファンディング(小額資金を募る)、ソーシャルファンディング(ソーシャルな仕組みで資金を募る)などと呼ばれています。

クリエイティブであるということは、これまでになかったものを産み出したり、問題のあったものを解決するという意味で、世界を変える試みです。世界を変えるアイデアを思いついた誰かが、それを応援したい人から、気軽に必要な資金を募ることができます。lunatik

Kickstarter上では、オープンソースの次世代Facebookを開発するというプロジェクトであるDiasporaは、6,479人の世界中の後援者から$200,641もの大金を集めました。腕時計型のマルチタッチのiPod nanoをつくるプロジェクトであるTikTok+LunaTikは、13,512人から$941,718を集めました

日本発のサービスとしても、ロリポップ!レンタルサーバーで有名なpaperboy&co.の家入一真氏らが始めたCampfireSPYSEEで有名なオーマが手がけるReady For?、さらに、ソーシャル・パトロン・プラットフォーム”Grow!”などが話題[1]になっています。

世界を変えられるか。誰かを幸せにできるか

筆者らは、日常的に、仲のよい起業家の仲間やジャーナリストの方々、投資家の方々と、「ぼくらは世界を変えることができるのか」、「ぼくらは誰かを幸せにできるのか」といったテーマについて言葉を交わしています[2]

世界を変えられるかどうか、あるいは、誰かを幸せにできるかどうかといった視点では、ぼくらもPremal Shah氏と同じ立場です。(Kivaのように、ゲーム的な仕組みを巧みに用いて、人びとを社会貢献に巻きこんでいこうという発想には賛成ですが)ソーシャルの仕組みが世界を身近なものにしたとしても、今世界中でビジネス上での成功を収めているソーシャルゲームが世界を変えるとは考えられません。

最近、YouTubeがホームページを一新し5時間滞在を目指すというニュースが流れてきましたが、その5時間をどのように使うことができるのか、そこから考えて世界を変えていく取り組みが求められています。

ぼくらは、科学者として、起業家として、あるいは、技術者として、世界を変えて人類の幸福や社会の繁栄に貢献するために、新しいヴィジョンを示したり、解決策を提示したり、それを具体的に実行する責任があると考えています。しかし、今や、これは一部の人の責任ではなく、すべての人にとってのチャンスでもあります。

現代では、これまでとは違って、こうした一見「高尚」に見える社会貢献や発明が、一部の人に限られたものではなく、一杯のビールやコーヒーを購入する感覚で、気軽に、行うことができるようになっているのです。

  1. [1]ご興味のある方は、2011年2月10日(木)19:00~22:00に開催されるStartupDating vol.5というイベントに、CampfireReady For?Grow!の方々が登壇されますので、参加されてみてはいかがでしょうか。
  2. [2]ぼくの認識では、起業家と科学者は基本的に共通の目標を持っていると考えています。ぼくが学問の世界で研究に従事していたときも同じように、科学や技術の進歩によって、人類や社会を変えることができるかということを常に考えていました。

著者紹介

高橋雄介

高橋雄介 (たかはし・ゆうすけ)

1980年生まれ。2003年 慶應義塾大学 総合政策学部卒業、2005年慶應義塾大学 大学院政策・メディ ア研究科修士課程修了。2008年同大学院後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。2005年より同大学院研究員として、知識ベースシステム、マルチデータベース、ビジュアリゼーション、教育およびキャリア開発におけるデータベース利用に関する 研究開発 に従事(~2009年)。2010年11月、株式会社一人企業を創業。2013年2月、米国カリフォルニア州Mountain ViewにてAppSocially Inc.を創業し、CEOに就任。専門は、データベース、知識ベース、マルチメディアデータベース、顧客開発、および、 グロースハック。2013年4月より、米国シリコンバレー在住。

(株)清水弘文堂書房

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