d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


はじまり

2011年11月12日

2009年6月20日 イフェ モーレ地区のパパケイの自宅兼アトリエにて

「アートをやるようになったきっかけってなんですか?」
街のアーティストたちにたずねてみる。

「小学生のころ黒板に先生の絵を描いて罰を受けたのがはじまり。なんか悔しくて」
「20歳前後にやってた新聞配達先でアーティストたちと知り合った」
「中学のとき生物学が好きで、微生物とか動物、それに人間の内臓とか描いてたから慣れてたんだ」
「大学入試代を稼ごうと思ってはじめたバイト先で土器づくりやってて、俺は夢中になった」
「父から教わったんだ」
「下宿の近くにアーティストたちが住んでて、彼らは成功しててさ。俺はもう30過ぎてたんだけど、当時の仕事を辞めてアートをやろうって決めた」
「うちには中学校へ行く金がなかったので、彫り師だった従兄のところで学ぶことにしました」
「絵が好きなぼくに、兄が中学でアートの教員をやってる友人を紹介してくれたんだ」
「ただ好きで3歳のころから彫ってたら家族や近所の人たちにほめられてね」
「兄貴が中学の課題で描いたっていう校舎と花の絵を見て素敵だなって思ったの、いまでも覚えてる。ぼくはまだ小学生だったな」

さまざまなきっかけと、色とりどりのストーリーを語ってくれる。

ひとりの人間が生まれる。その人がまたべつの人やモノに出会う。それを可能にする、あるいは阻む、家族や友人、地域や国の状況がある。目のまえにあるその作品は、努力も才能も、想像も創造も、悲劇も奇跡も、すべて抱えて生きている人間から生まれる。

Photo
アーティストのパパケイの二女ララ(6歳)が、自分で描いた絵を見せてくれた。
2009年6月20日 イフェ モーレ地区のパパケイの自宅兼アトリエにて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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