d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


ごみのゆくえ

2011年10月1日

2008年9月16日 イフェ モダケケ地区 オモレ・エステイト

この住宅地でごみの収集がはじまったのは2010年。かつてみんなが「ごみ捨て場」として利用していたいくつもの場所に、地主など金銭的に裕福な人たちがあたらしく家を建てるようになったからだ。ポイ捨てする場所のなくなったこの住宅地では、週1回、1袋(45リットルのごみ袋相当)100ナイラ(約50円)で個人の収集屋がごみを引き取るようになった。収集屋はリアカーで各家庭をまわってごみと現金を受け取ると、ごみを車に積んで郊外の空き地や繁みへ捨てに行く。

外を歩けばどこにでも散らばっている生ごみ、汚物、使用済み生活用品、サチェットなどなど。あたりに捨てられたごみは風で運ばれ、砂ぼこりにまみれ、雨に流され、街をめぐる。いつのまにかヤギたちが食べていたり、土にかえったり、まだ使えるものを探すスカベンジャー(ごみをあさる人)たちに拾われたり、排水溝に積もり詰まって洪水を引き起こしたりする。

異なる生活習慣をもって同じ地球上で暮らすわたしたち人間が、それぞれのやり方で、しかし一刻もはやく、暮らしのなかで地球の環境を守ることはできないものだろうか。ここではまだ多くの人たちにとって環境問題は身近ではないけれど、9jaらしいやり方がきっとあるはずだ。

Photo
住宅地の路地にいつのまにかできたごみ捨て場(すくなくとも2003~2009年まで)。大都市の一部をのぞくと、ナイジェリアではこのようなごみのかたまりがどこでも見られる。ナイジェリアの人たちはごみをポイ捨てする傾向がつよく、人びとのいまの生活がありありとうかがえるようなごみの散らばりようだ。庶民のあいだで、環境汚染を懸念する声はほとんど聞こえてこない。各地方政府によってはごみの収集がおこなわれている地域もあるが(有料、月払い)、限られている。個人がおこなう有料のごみ収集は裕福な人たちの住むこの地域だからこそ可能であり、ごみ捨てに金を費やす余裕のない人たちのほうがナイジェリアには多い。
2008年9月16日 イフェ モダケケ地区 オモレ・エステイト

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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