d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


ペペの力

2011年8月20日

2011年8月6日 大阪の下宿のベランダにて

帰国して1か月、うだるような暑さのなかの静かな暮らしに9jaの「刺激」が戻ってきた。友人が、旦那さんと一緒に大事に育てているハバネロをわけてくれたからだ。

オレンジ色のハバネロはトウガラシの一種だが、その辛さは日本で一般的な鷹の爪の2.5~7倍もあり、痛いほど辛い。同じトウガラシ属でも、品種が異なれば色もかたちも辛さもそれぞれで、さまざまなトウガラシが世界中で食べられている。このハバネロと同じ種で、かたちと大きさがよく似ているのがスコッチ・ボネットという9jaのトウガラシだ。「ペペ」の名で親しまれるこの真っ赤なトウガラシはハバネロ級の辛さを持ち、9ja料理にはかかせない。

「だめだ、ペペが足りないよ」「ごめん、ペペ入れ過ぎちゃったからあんたには無理かも……」みんなで食卓をかこむたびにペペは話題にのぼった。超刺激的な辛さは口のなかだけにおさまらない。「ぺぺ」の刺激は、けっして楽ではない9jaでの毎日をたくましく生きるエネルギーにもなっているのだと思う。

ぺぺ(ハバネロ)、オクラ、モロヘイヤ、トマト、ナス、タマネギ、ニンニク、ショウガ……9jaのみんなも食べているこれらの野菜を少し多めの油で炒めて、日本の夏を乗り切ろう。

Photo
友人からもらった鉢植えのハバネロ(ナス科トウガラシ属)。辛さを示すスコヴィル値は、ピーマンやシシトウガラシが0、鷹の爪が4~5万であるのに対して、ハバネロは10~35万。中南米が原産地のハバネロおよびスコッチ・ボネット(通称ペペまたはヨルバ語でアタ・ロド)は、ポルトガル人による交易によってガイアナ、モルディブ、西アフリカなどへも伝わったとされる。かなり辛いが、日本で一般的な乾燥したトウガラシにはない生のフルーティな(パプリカを丸かじりしたときのような)香りとビタミンが豊富で、油との相性がよい。カットする際はできるだけ直接手でさわらず、片手でナイフやフォークを使って抑えながら、あるいはゴム手袋を使用して、包丁で細かく切る。
2011年8月6日 大阪の下宿のベランダにて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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