d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


帰郷と旅立ち

2011年6月4日

2010年5月7日 カタール、ドーハ国際空港にて

関西国際空港を発って11時間のフライトを終えると、カタールの首都ドーハに着く。乗り継ぎ客用の荷物検査場を抜ければ、前後にいた日本人たちはたちまちどこかへ散っていく。両肩にくいこむ機材の入ったリュックサックの重みも忘れながら急ぎ足で着いたラゴス行きの搭乗口には、懐かしい人たちが集まっていた。

ほとんどの人たちのお腹はまるまると突出している。メタボリックは症候群ではなく富の象徴。あたりは食べかすや空き缶でちらかっている。ポイ捨ては彼らの習慣。男性も女性も、香水や金色のアクセサリーでギラギラと輝かしい。帰国ともなれば身だしなみは必要不可欠。そのあいだに、ジーパンにポロシャツ姿の中国人のグループがちらほら。青白い顔でみんなを見つめる日本人バックパッカーが、最後尾にぽつり。

カバンにも袋にも入らない大きなぬいぐるみを抱えた彼を迎えるのは、娘だろうか。ジャケットを羽織り、新品の靴をはいた彼を待つのは凱旋の歓声か、嫉妬の嵐か。北京語で話している彼や彼女が繰りひろげるのは、どんなビジネスなのだろうか。9jaの友人たちはどんな顔でわたしを待ってくれているのだろう? 

あと8時間じっと座ったのちにあの湿気と熱風に触れれば、わたしたちはそれぞれの家路を、旅を、歩んでいく。

Photo
ラゴス行きの飛行機の搭乗口に並ぶ乗客たち。
2010年5月7日 カタール、ドーハ国際空港にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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