d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


おのれを知る

2011年5月21日

モノレール、リムジンバス、飛行機、車、乗合バスを乗り継いで46時間。見るもの、匂うもの、聞くもの、触るもの、話す言葉……すべてがいつもと違う。いま、わたしは異国にいる。

水を汲んで、ほうきで掃いて、水を浴びて、マッチを擦って、明かりを灯す毎日。ばかみたいに時間ばかりかかる不便さに途方に暮れて、ふと気づく。場所を異にしても、変わらない自分を知る。

異文化を受け入れられずに自己主張ばかりの自分。遠く離れた土地でも繰りかえされる、ありがとう、ごめんね、元気? 気をつけて、お大事にね。どこで、なにをしていても、変わりないこの自分。

ほこりをはらってパパケイが取り出したのは、自画像だった。キャンパスに投影された24年まえの自分を娘と一緒に見つめている。時を異にしても、変えられないおのれを見ているのだろうか。

Photo
画家のパパケイが大学美術学部時代に課題として描いた自画像。自分自身を描くことも、他者を描くことも、静物画や風景画と同じように、絵画コースの学生たちの必須の課題である。長女のエスター(写真右)も、若き日の父親を見つめていた。
2010年5月31日 イフェ、モーレ地区のパパケイの自宅寝室にて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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