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2011年2月19日

9jaにはレジャースポットが少なく、大都市の一部の地区を除けば娯楽施設はまったくない。国内の8割を超える人びとには余暇にお金をかける余裕もない。たとえ余裕があっても、インフラの不整備で道は悪く治安も不安定だから、目的地まで簡単にたどり着けない。でもみんな、余暇を持たないわけでもその楽しみかたを知らないわけでもない。

たいてい家族と自宅で過ごすか、友人の家を訪ねて過ごす9jaの余暇。しょっちゅうやってくる停電を覚悟しながら、できる限りで発電機をスタンバイさせてサッカー中継や映画を観る。裕福な家庭は衛星テレビを受信して海外の映画やテレビ番組を観るけれど、国民一般にポピュラーであるのはDVDやVCDで観るナイジェリア映画や欧米・香港映画の海賊版。販売店やレンタルショップは街にいくつもあり、1枚100円程度の安価でもとめられる。今やナイジェリアの映画産業は、アメリカのハリウッド、インドのボリウッドにつぐ規模となり、「ナリウッド(Nollywood)」として世界で知られている。

電気が消えてしまえば、みんなで話しつづける。話し疲れたら、薄暗い室内で一緒に昼寝する。映画館、劇場、動物園、遊園地、ショッピングモール、ゲームセンター、レストラン、ピクニック、ハイキング、スキー、釣り、海水浴場、温泉……わたしが生まれ育った環境にはレジャーやエンターテイメントがあたりまえのようにたくさんあるのに、この9jaの余暇が、わたしにはうらやましく思える。

Photo
ワールドカップの試合を観戦する友人たち。
2010年6月20日 ラゴス、アジェグンレのシェグンの家にて

(毎週土曜日更新)