d beauty of 9ja ― 魅するもの、ナイジェリアから


子よ、孫よ

2010年4月17日

子どもたちを遊園地へ連れて行き、記念写真を撮るアミナ。2009年7月5日、首都アブジャの大型遊園地、ワンダーランドにて

「こういうことが、子どもたちの思い出として残るのよ」

アミナがそうつぶやいてはじめて色づいた、この遊園地。裕福であっても、貧しくても、この場所でも、あの時でも、変わらないものがある。

ラゴスのゲットー、アジェグンレで育ったアミナの話を聞くのが好きだった。貧しいなか家族10人が寄り添って、6畳ほどの部屋で暮らした。問題がなかったわけじゃないけれど、しあわせな思い出。結婚して裕福になったアミナは、首都アブジャの一等地に家を買い、車を4台買った。アジェグンレの話をしなくなったアミナのあたらしい暮らしに、わたしは戸惑った。

今、母になったアミナが子どもたちを連れて、極上のお金持ちでにぎわう遊園地にいる。かつてこの子たちくらいの歳だったわたしは、日本海沿いの大きな砂時計がある博物館にいた。左腕にはクマの「トロ」のぬいぐるみ、右の手のひらに祖母の手。隣には姉、向かいにはカメラを持つ祖父。

日が暮れるすこし前、わたしはアミナとベンチに腰かけた。アミナの胸に抱かれる息子、わたしが膝で抱えるアミナの娘たちの風船と指人形。柵の向こうでは、動く大きな遊具に乗った娘たちが高い声をあげて笑っている。

Photo
子どもたちを遊園地へ連れて行き、記念写真を撮るアミナ。
2009年7月5日、首都アブジャの大型遊園地、ワンダーランドにて

(毎週土曜日更新)



著者紹介

緒方しらべ

緒方しらべ (おがた・しらべ)

1980年島根県に生まれる。18歳まで福岡県で育つ。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)にて学士課程をへて、2005年に同大学院修士課程を修了。2007年より、総合研究大学院大学文化科学研究科にて博士後期課程に在籍。

2003年以来ナイジェリアでフィールドワークに従事し、造形活動にたずさわる人びとをテーマに研究をおこなっている。

(株)清水弘文堂書房

TEL 03-3770-1922 FAX 03-6680-8464

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