第3回 約束――その不確かなもの
2009年9月4日
写真:ドミニカ共和国バニ市ロス・バランコネスの青年。神妙な顔つきは何を思う
「今日」と「明日」
約束は破られるためにあるといったのは誰であっただろうか。ドミニカに暮らしているとこの言葉の意味を考えない日はない。調査滞在中の身ゆえ、週に何度かはインタビューに出向くことになる。事前にアポイントはとっていくのだが、不在で会えないことが多い。あとで電話をすると、急用ができたとか家族が急病になったとかさまざまな答えが返ってくる。そのときには次に会う約束だけをしておとなしくひきさがることにしている。しかし、こんなことが二度、三度と続くとこちらの気持ちもなえてくる。もう調査なんかどうでもいいかと投げやりになる。そんな日には、近所の公園で日陰のベンチに座り、何をするのでもなくぼーっと過ごすことに決めている。絞りたてのオレンジジュースを飲んで気持ちが静まるのをゆっくりと待つのだ。