第23回 勝利か死か

2010年12月26日


写真: 命を賭した闘い。ドミニカ共和国、サント・ドミンゴの闘鶏場にて

街角の闘鶏場

「ブランコ(白)、ブランコ!」「アスール(青)、アスール!」
試合開始のベルが鳴っても、観客席の賭け金を煽る声はやまない。最前列に陣取ったオヤジさんは腕組みのまま、一点を凝視してうごかない。まのびした実況の声が、ガジェータ(駄菓子)売りのかん高い声に折り重なる。その直後、首根っこを押さえつけられ、踵で蹴りあげられた鶏の悲痛な叫び声が、会場の怒号のなかをぬって私の耳にまで届いた。

その日、首都郊外の下町にはじめて足を踏みいれた。闘鶏を見るためである。バスを2台乗り継ぎ、教えられたところで降りる。来た方向に少し歩いて、ピカ・ポージョ(中華料理店)の角まで来たら左に曲がるように、たしかにジョアンはそう言った。

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著者紹介

窪田 暁 (くぼた・さとる)

窪田 暁 (くぼた・さとる)

1976年奈良県生まれ。総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)、奈良県立大学専任講師。専門はスポーツ人類学、国際移民研究。ドミニカ共和国をはじめとする世界各地で、国境を越えて展開するスポーツと人びとの関わりを研究している。

おもな著書に、「グローバリゼーションとスポーツ移民-ドミニカ共和国の「野球移民」」(早稲田大学スポーツナレッジ研究会編『グローバル・スポーツの展望と課題』、創文企画、2014年)、「「野球移民」の誕生-ドミニカ共和国における移民像の送出過程」(『総研大文化科学研究』第10号、2014年)、『世界地名大辞典第9巻<中南アメリカ>』(共著、朝倉書店、2014年)、『世界民族百科事典』(共著、丸善出版、2014年)などがある。

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